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天命の子~趙氏孤児のtanziのレビュー・感想・評価

天命の子~趙氏孤児(2013年製作のドラマ)
3.8
原作は、司馬遷の「史記」に登場する挿話。京劇の題材としても有名な“趙氏孤児”。
恐らく中国において一般教養レベルで有名な物語。

歌舞伎でいう『寺子屋』みたいなお話。
現代とは倫理観や価値観がかなり違うので、ハードルは高い。

時は戦国春秋時代。
キャストも好きだし舞台も間違いないのに前半ほんとうに見るのが難しかった。

忠臣であり図抜けた義の人趙朔が本当に純粋無垢すぎて自分には正直ついていけなかったのです。
15話で非業の死を遂げ、やっとエンジンがかかってきた感じ。

主役の程嬰もまたあまりに愚直で狂気に近い忠義の人なので何度も挫けそうになったけど、趙朔の死後、我が子をその手にかけてからは怒涛のような展開に一気に駆け抜けました。

そんな正直者が馬鹿を見る物語を救ってくれたのは孙淳 演じる 屠岸贾。
本当は極悪非道な叛臣なのに、一方で妻や息子を何より愛してる上に程嬰に何度もしてやられるのに許しちゃうのが可愛すぎた。

主人公と悪役、どちらが人間臭いかといえばむしろ悪役の方だという。

そこに屠岸贾に惚れ抜いた食客、到満を交えた三角関係が面白くて。

ラスト、ここまで溜めに溜めた怒りをぶつけるシークエンスを見て、「部下と話が合うので友達だと思ってたのにある日突然実は彼は話を合わせてただけと知って心からショックを受ける上司」に見えてしまい笑ってしまった。
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