Larx0517

クイーンズ・ギャンビットのLarx0517のレビュー・感想・評価

クイーンズ・ギャンビット(2020年製作のドラマ)
4.2
制御不能レベルの面白さ。

なぜこれほど惹きつけられるのか、自分でも分からない。

まったく知らないチェスの話なのに。

最終話では、3回泣いた。
2つの電話とひとつの公園。

「天才と狂気は紙一重」

すさまじい才能。
すさまじい人生。

チェスと薬、そして酒に囚われた人生。

「独りは平気」

継母アルマの存在位置が面白い。
一見、娘ベスを金づるとしか見ていない、ステージママ。
次第に分かる。
突き抜けた諦観。
すべてが彼女にはどうでもよい。
もちろん娘のチェスも。
お金稼ぎの手段でしかない。
そのドライさが、ベスには快適な距離感なのだろう。
「チェスだけが人生じゃない」
共犯者であり、運命共同体。
そしてベスの俗世界とのつながりとなる「錨(アンカー)」だった。

常にベスはチェスの盤上の世界とは別に、この世につなぎ止めるアンカーを必要としていた。
それをすべて手放した時、すべてを失う。
自分自身も。

衣装、美術、セット。
レトロでセピア基調の世界観が美しい。

「怒りは武器よ」

アニャ・テイラー=ジョイの上目遣いのつぶらな瞳が、威嚇しているように見える。
ベニー・ワッツを演じるトーマス・ブロディ=サングスターと並んで座るシーンでは、二卵性双子に見えるくらい、似通っている。

一瞬そういう「オチ」があるのかと思ったくらい。

「創造と心の闇は表裏一体」

才能に翻弄され、才能に救われる。
Larx0517

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