福福吉吉

メタモルフォーゼの縁側の福福吉吉のレビュー・感想・評価

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
高校生の佐山うらら(芦田愛菜)は本屋でバイト中、老婦人の市野井雪(宮本信子)がBL漫画を堂々と買っていく場面に出くわす。雪は表紙が綺麗だったことからその内容を知らずに買っていたのだったが、雪はその作品に惹かれ、何度も本屋でうららと出会うことになり、BLについて語り合う友達になっていく。

◆感想◆
BL本をきっかけに高校生と老婦人が友情を育んでいく姿を描いた作品であり、その二人の年の差を感じさせない熱量を丁寧に描いており、極めて明るい雰囲気のまま、ストーリーが流れていくので、とても居心地の良い作品だと思いました。ストーリーに意外性や伏線など一切なく、観たままを理解すればよいものになっていて、起伏の緩いストーリーながら観ていて退屈しませんでした。

佐山うららはやりたいことが無く、進路に答えを出せない普通の女子高生として描かれていて、少し小心者のところがありますが、好感の持てる人物でした。一方、市野井雪は主人を亡くし、自宅で書道教室を開く明るい性格の人物であり、こちらも嫌悪感の一切ないキャラクターになっていました。

2人はBL本をきっかけに友達になりますが、この二人の性格が非常に合致していて年齢差の違和感を感じさせませんでした。共通の話題で盛り上がる2人の緩い雰囲気が観ていて暖かく感じました。

ストーリーとして一応、イベントがあって起伏もあって盛り上がるシーンもあるのですが、本作の場合、うららと雪の2人の一緒にいる姿があるだけで観ていて多幸感があってそれだけで十分な作品だと思いました。

本当に緩い感じで終わって体中の毒素が抜かれてしまったような感覚になる不思議な作品でした。とても面白かったです。

鑑賞日:2024年4月22日
鑑賞方法:CS 日本映画専門チャンネル
(録画日:2023年9月3日)
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