MasaichiYaguchi

マゴーネ 土田康彦「運命の交差点」についての研究のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.9
世界的に活躍するベネチアンガラス作家・土田康彦さんの創作に迫るドキュメンタリーは、ベネチアの名店「ハリーズ・バー」で調理師として働いた経歴を持ち、一流の料理家としての面も持つ土田さんが、料理を自ら制作した美しいガラス食器に料理を盛りつけ、フェンシング選手、映像作家、ミュージシャンなど様々な悩みや葛藤を持つ来訪者たちを温かくもてなす姿を映し出していく。
美しき水の都ベネチアで約1000年にわたって受け継がれ、多様な色彩と高い装飾性で知られるベネチアンガラス。
熟練のガラス職人が集うムラーノ島に唯一スタジオを構える日本人である土田康彦さんは、独自の哲学と日本の美を吹き込んだ作品で世界中から注目を集めている。
映像作家・田邊アツシさんが8年間に亘って取材を続け、その作品と創作活動をドキュメントしていく。
タイトルの「マゴーネ(Magone)」は北イタリアの方言で「夕日を見る時の胸を締めつけられるような感覚」を意味するが、土田さんは諺にある“袖振り合うも多生の縁”とも繋がる感覚だと語っている。
偶然が運ぶ縁を創作に活かす土田さんの人生観も共感を覚えます。