やむちゃ

ダイ・ハードのやむちゃのレビュー・感想・評価

ダイ・ハード(1988年製作の映画)
4.5
備忘録
1989.2に鑑賞。

アクション映画の常識を変えた大傑作。
レーザディスクも買った。

当時はネットもなかったので、本作のアメリカの評判もほとんどわからなかった。
おまけにブルース・ウィリスはほぼ無名(テレビドラマの「こちらブルームーン探偵社」を見ている人ぐらいしか知らなかった)で、スターも不在。
ということで、公開前にはほとんど話題になっていなかった。
チケットも、金券ショップで企業向け招待券がたくさん出回っており、700円で買ったのを覚えている。

が、観てみたらそのあまりの面白さに驚いた。
一緒に見た友達は、鑑賞後すぐは、興奮して話が纏まっていなかったし、たっぷり手汗をかいていたw

当時のハリウッドのアクション映画は、スタローンやシュワちゃんなど筋肉モリモリのマッチョが、上半身裸でマシンガンを撃ちまくり、敵には百発百中、逆に敵の弾は当たらない…といったスタイルが主流だった。
が、本作のマクレーン刑事は、中年体型で頭髪もやや寂しく、タンクトップ(というかランニングシャツ?)で、文句や泣き言を言いながら仕方なく敵と戦う。撃たれるし、ガラスを踏んで怪我もする、等身大の人物だった。
ダーティーハリーのようなアウトローな存在でもなく、別居中の奥さんと和解するためにロスにやってきて、結局ケンカしてしまう普通のおじさんが活躍するのが新鮮だった。

敵も憎々しいだけではなく、頭が切れる知的な一面があるキャラで、それまでの「やられるための存在」ではなく、魅力的に描かれていた。

また序盤のできごとが、あとの展開に影響したりと、伏線の張り方、回収の仕方も完璧で、単純なアクションだけでなく、ハラハラドキドキのサスペンス要素も盛り込まれていた。

黒人警官とのやり取りや、TVキャスターお陰でピンチに陥る展開など、小さなエピソードの積み重ねも効果的だった。

ナカトミビルという日系企業のビルが舞台なのは時代を感じさせる。

こうした要素は、本作以降のアクション映画の「定番」となり、今では当たり前のようになったが、初見は衝撃的だった。
本作を観ながら「これはすごいものを観ているぞ」という高揚感を感じたのを覚えている。
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