鷲尾翼

屋根裏のラジャーの鷲尾翼のレビュー・感想・評価

屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)
4.0
【まとめシネマ】#1074

【まとめ】
* ラジャーとアマンダの友情
* 個性豊かな豪華声優陣の声色
* イマジナリという想像力

本作のヒロインであるアマンダは、家の2階で架空の友達・ラジャーといつも遊んでいる少女。ある日、ラジャーを狙う悪者から逃げている最中に、アマンダは車に轢かれてしまい意識不明の状態になってしまう。ひとりぼっちになってしまったラジャーは、イマジナリの町にたどり着き、イマジナリの仲間たちと共にアマンダが眠る病院を目指す物語。

アマンダとラジャーの二人の関係性は、物語が進むにつれて特別なものになっていく。アマンダに忘れられると、ラジャーは消えてしまう。このギリギリの状態が友情以上のものに変化していく。

本作で声優を務める俳優陣も、個性豊かだ。
寺田心、鈴木梨央、安藤サクラ、仲里依紗、杉咲花、山田孝之、イッセー尾形など豪華なラインナップ。今回の声優陣で特徴的なのが、キャラクターと声色がアンバランスな部分があるところ。人間のキャラには、そのキャラに合った声色であり、その声色に合う方が担当していると思うが、イマジナリのキャラは大胆な違和感を感じるものが多い。しかし、それが子供達の不安定な想像力だと思うし、作品の世界観とピッタリ合うキャラクターばかりだ。

本作で重要なワードとなるのが「イマジナリ」
子供たちの想像力で生まれたものだが、大人になった僕にとって正直共感しづらいものでもある。ぬいぐるみに名前をつけて遊ぶのとは違うし、考えば考えるほど寂しいものでもある。「共感できない」という気持ちは、思ったより喪失感を感じている。

ちなみに、僕が鑑賞した日は祝日で、客層もファミリー層が半分以上だった。中盤のあるシーンが流れた瞬間、子供たちが一斉に泣き始めた。この映画は子供たちに向けた作品だと、改めて感じた。
鷲尾翼

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