ロックウェルアイズ

恋は光のロックウェルアイズのレビュー・感想・評価

恋は光(2022年製作の映画)
4.8
恋する女性の発する“光”が見えてしまう特異体質の大学生西条はある日一冊のノートを拾う。
そのノートの持ち主は美人だが、文明の利器に頼らず周りともあまり関わりを持たない文学少女の東雲だった。
彼女に一目惚れした西条は幼馴染の北代に協力を仰ぎ、東雲と「恋の定義」について交換日記を始める。
そんな中、人の恋人ばかり好きになる宿木まで参戦し、西条はさらに恋とは何かに悩まされていく。

「恋とは、誰しもが語れるが
誰しもが正しく語れないものである」
byシーロ・キータ
この映画はとある名言から始まる。
傑作マシーン小林啓一監督の最新作とあらば期待せざるを得ない。
結論から言うと、傑作だった。
正直小林監督じゃなかったらきっとキャラクターがここまで輝いていないし、話もこんなに面白くないはず。
監督、一生ついていきます。

文科系哲学恋愛映画。
恋とは何か?
その答えは確かにシーロ・キータ氏の言葉の通りだと思う。
これほど簡単で難しい問いはない。
恋に対する考え方も恋という存在の捉え方も人それぞれ違う。
個人的には宿木の「好きだと思ったらそれが恋」派だけど、人それぞれに自分の恋があってそれぞれが正しく解くことはできないだろう。
そんな答えの出ない問いを子供用の交換日記で探り続ける。
尊い。下手すればハピネット・ファントムのロゴが出た瞬間から尊い。
こんなに純粋さと優しさに溢れた世界を描ける人を私は小林監督以外知らない。

監督の力量はもちろんだけど、役者陣も素晴らしかった。
この4人、一時期はあまり好きではない役者の部類だった。
最近は普通に良い役者だと思うことも増えてきていたけれど、イマイチ乗り切れなかったのが西野七瀬。
ただ、今作の彼女は素晴らしいとしか言えない。
成長というか覚醒。完全に役を自分のものにしていた。
この手の作品、やはり誰派か分かれるところだけど、全員と言いたい。
みんな違ってみんないい。

この作品自体が恋。
この作品自体が光。
理屈じゃない。
好き。
客入り悪すぎ。
観ろ。
恋したい。
岡山行きたい。
以上。