almosteveryday

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスのalmosteverydayのレビュー・感想・評価

4.0
例によって事前情報を極力頭に入れないままで臨んだところ「これが『最先端のカオス』か〜」と大いに困惑しつつも最終的には滂沱の涙を流す羽目になりました。マンガみたいに明快なのにおそろしく難解。ずいぶん変な映画です。

ざっくり言えば金と家族とマイノリティ(アメリカで暮らす中国人/性的少数者)の話、配られたカードとこれまでの人生で選びとってきたあらゆる分岐に落とし前をつける覚悟がテーマだと思うんですけど、あれこれさんざん全方位にやりたい放題とっ散らかした挙句の〆がわりとまともでびっくりしました。小1こくごの思い出が「おおきなかぶ」である日本人、つまりわれわれ世代の大多数にヤバい角度でぶっ刺さるクライマックスであったことよ…!

主要キャストの4人家族+1(税務署の彼女!)は全員たいへん素晴らしいのですが、尻ネタをはじめちょいちょい挿入されるギャグがどうしたもんかと思うくらいに軒並み全部ノットフォーミーで「すまんけどそれ、本当に面白いと思ってやってんの…?」と劇中何度も真顔にさせられたのが切ないです。テーマもキャストもストーリーもめっちゃいいのに、笑いのセンスがビタいち合わない。アクションシーンの演出が過去の名作をリスペクトしているであろうことは伝わってきたんですけど、そこら辺との親和性も正直あんま高くないってか悪ふざけが悪目立ちしてるよなーと思いました。そこが少し、いやかなり残念。
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