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すずめの戸締まりのmagic227のネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

新海誠監督の決意を見た気がしました。
3.11を単なる歴史の1ページにはさせない。
その想いがヒシヒシと伝わってきました。

娯楽映画の枠組みの中で多くの方が犠牲となった大震災を描く事に賛否はあるようですが、アニメーション監督が3.11を語るのは不謹慎な事なのでしょうか?
自分が出来るフィールドの中で、自分が出来るだけの事を、精一杯の思いを込めて形にする。それを否定する事は、結局自分の首を絞める事なのではないかと感じてしまいます。
3.11以降に生まれた人が増え、あの屋根の上の漁船を見ても何も感じない人が少しづつ増えている今、この映画が持つ意義は決して小さくないと思うのです。

作品的にも脚本がよく練られていて、伏線の張り方、回収の仕方ともに鮮やかですし、タマキとすずめ、すずめとダイジンの関係をダブらせたストーリー構成は見事としか言いようがありません。
作画に至っては素晴らしいのは観る前から分かっていましたが、それでも自転車を漕ぐすずめの目に映る煌めく大きな海を見たときには感嘆の声を抑えられませんでした。
全体的に言えばウエットになり過ぎず、抑制が効いていたのも良かったポイントで、最後まで作品の持つメッセージ性が損なわれる事はありませんでした。もっとエモーショナルにしても良かったのではと思うくらいです。
まだまだ気付けていない伏線や拘りもありそうに感じますし、もう一度映画館に足を運んでしまいそうです。
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