数年前に公開された『恋は邪魔者』の下敷きになったと思われるロマンティクコメディー。ただし、こちらの方がまとまりがいいし、品があります。
ドリス・デイは歌手や役者としては一流だと思っていましたが、今まで美人だと思ったことはありません。が、なぜかこの映画では<別嬪さん>で、60年代初め前後特有の女性の美しさや上品さを余すところなく見せています。
ロック・ハドソンとドリス・デイの明るいキャラクターと演技がこの映画になくてはならないものだったことは言うまでもありません。ハイミスのインテリアコーディネーターと独身主義の作曲家を楽しそうに演じています。
美しくて仕事のできるハイミスというのはこの時代はまだ新鮮な女性像だったのですね。いろいろな映画に登場します。インテリアコーディネーターは『さよならをもう一度』でバークマンも演じています。二人とも家政婦を使っていますから、当時の花形職業だったのでしょう。
演出は脚本家のベン・ヘクトとハワード・ホークスやビリー・ワイルダーが組んだスクリューボイルコメディーと似た部分がありますが、この映画に登場するカップルの方が遥かに常識的。その分細かい部分の演出やきわどいながらしゃれた台詞で上品なコメディーに仕立てています。どうでもいいようなことではありますが、最後にはすべての伏線がきれいに回収されてしまうのも見事です。
(ロマンティックコメディーの傑作 2008/10/19記)