シリアルキラー

夏へのトンネル、さよならの出口のシリアルキラーのレビュー・感想・評価

3.5
原作を読んだ直後に映画を見た。1本の映画として見た時に悪くはなかったけれど、個人的には原作を先に読む事を強くおすすめしたい。

映画の良かったところは原作の一部を端折ることでテンポがよくなりダレるところがなかった。

あと映像や作画が綺麗で、原作では想像することしかできなかったウラシマトンネルや花火のシーンも幻想的に描かれていたと思った。

悪いところは、原作では徐々に心を開いていった花城あんずだが、映画では割と直ぐに主人公の塔野と仲良くなってしまったため、2人の関係があっさりし過ぎてしまっていた。

加えて原作では重要な存在であった川崎さんとの話は冒頭に少し出てくるだけで、ほぼ全て端折られていた。加賀も原作では主人公を気遣う唯一無二の親友だったが映画では茶々を入れるだけの人物に成り下がっている。

総じて原作に比べると随分と薄っぺらい話になっており、原作が涙ものの傑作であったのに対して、映画単体で感動することは難しい気がした。

ただ原作を読んでから映画を見る分には本の世界観を綺麗な映像で表現してくれただけでも有り難い気持ちがあり、悪い映画だとは思わなかった。