サム・メンデス監督の新作。
思えばこの監督のヒューマンドラマは久しぶりですかね。
1980年代のイギリスの映画館が舞台の作品です。
そこに働く女性スタッフのヒラリーを演じているのはオリヴィア・コールマン。最近は演技派女優として引っ張りだこの女優さんです。
この人が出てるだけで良作が観れると安心できますよね。
本作も例に漏れず良い映画でしたよ。
ストーリーは主にヒラリーと一緒に働く映画館のスタッフ達の話なんですけど、ヒラリーとスティーブンという進学の夢を諦めて映画館で働きだす新人スタッフとの心の交錯がメインになっています。
スティーブンは黒人の青年で本作では80年代のイギリスの黒人差別も描かれている。
スティーブンをモッズ達が集団で襲ってくるシーンなどは凄惨なシーンでした。英国の黒人差別を描いてる作品は少なくてアメリカの黒人差別ばかりが映画化されがちですが、こうやって自分の国の問題提起をしているサム・メンデス監督は大切な事を教えてくれますね。
大事な人が傷ついた時にどうしたら良いのか。どう寄り添えば、或いは声を掛ければ良いのか。
そんな事を問いかける映画でした。
人間の数ほど正解があり、それ以上に不正解がある。天文学的な規模の問題なんだなぁと漠然と思いました。
本作でも正解の時もあれば不正解の時もあり、または正解不正解という言語すら正しくないのかもしれませんね。
それでも大事な人が困っていたり苦悩している時に手を差し出す人間の在るべき姿を描いている。
観ていて人間の孤独を映しているけど、同時に誰かといる事の温かさを思い出させてくれます。
コリン・ファースが映画館の支配人役で出ています。珍しく嫌味なだけでなく本当にセクハラするタイプのクソな男の役でした。
嫌味な役をやらせると素晴らしいけど、ここまでの悪漢だと笑えないし、コリン・ファースじゃなくても良いのにな…って思いました。そこは惜しい出来でしたね😅
