鶏

ティルの鶏のレビュー・感想・評価

ティル(2022年製作の映画)
3.8
「(南部の白人の前では)自分を小さく見せろ」と息子に言い聞かせなきゃならない50年代のアメリカ。
最愛の息子を差別主義者のリンチによって奪われた母の闘いを描いたノンフィクション。
南部と北部で認識に大きな隔たりがあるのが印象的だった。
「息子は法廷でも殺された」の言葉通り、当時の裁判所の浅慮な姿勢には失望する。犯人たちのその後もあまりに胸糞が悪い。
対して、深い喪失感の中でも勇気ある行動に徹した主人公の力強さに涙。
裁判では何も覆せなくても、何十年も続いた公民権運動の結実として少年の名を冠した反リンチ法が制定されたことだけは光明だと思えた。
鶏