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TAR/ターの79のレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
3.8
絶望からの狂気。土日満席ですごいねぇ。みんなお行儀よく見てました。というくらい、セリフの量と回収したくてずっと目を凝らして見てるサスペンス部分。結構難しかった。
セリフの量が演劇かってくらい多くて、長回しで舞台を見てるかのよう。ケイトブランシェットの身振り手振りや話し方も、舞台のよう。音楽の感受性や解釈の話がよく出てくるので、とても哲学的で字幕を読むのに一生懸命。やっぱりベルリンでトップの人はこんなにも感覚的に研ぎ澄まされて音楽と向き合ってるのだと、改めてわかる。
そんな彼女は典型的なレズビアン。各人との会話でも、歴史的な音楽家も愛人と同じように音楽と向き合ってきたためにその解釈も性やジェンダー的要素が含まれることが多い。パートナーがいるが、常に研ぎ澄まされた感性では新たな刺激も感じずにはいられない。
研修生や助手を含めた性的問題。自殺と告訴。彼女を絶望へと堕としていく。明確な犯人はわからないし、散りばめられた伏線も全て回収できない。全て幻覚なのかもしれない。そんな描き方。音楽の解釈のように人によって捉え方も様々、はっきり示すなんてナンセンスとばかりに曖昧。
正直ターの音楽的感性は私は追いつけずよくわかりませんでした笑 が、素晴らしい音楽は本当に心に響いて、聴いている時間全てを忘れさせてくれる。そしてケイトブランシェットが英語フランス語ドイツ語を網羅していてすごいと思いました。
マークストロングは髪があって気づかん。
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