Fitzcarraldo

TAR/ターのFitzcarraldoのレビュー・感想・評価

TAR/ター(2022年製作の映画)
1.0
先ず映画の内容どうこうよりもTOHOシネマズ六本木ヒルズに対して言わせてほしい…とにかく画面が暗い。

脚本を書いて資金を集めて、演者からスタッフから頑張って撮影して、細部まで編集して、ようやく作り上げた赤子のような作品をだよ、最後の最後に観客に届ける段階で…暗いってどういうことだよ。

明るい場所と暗い場所の陰影を狙ってるとか、敢えて暗くしてるとか…そういった類いのものではない。自然光の下でも暗い。フィルターでもかけているかのように画面全体がずっと暗いのだ。

舞台の上でガンガン照明が当たりタクトを振るところも、なんかボヤッとしていて間の抜けた画になっている。

これは監督が意図したものとは、かけ離れていると察する。このシアターで監督が見たら劇場にクレーム出すレベルだと思う。

塚本晋也監督は必ず上映されるスクリーンに脚を運んでチェックすると聞いたことあるが…さすがにTodd Field監督が日本の劇場を全て回るのは現実的ではないが。

さらにシネコン主流の現在、客が入らないものは公開日の翌週にはシネコン内の小さなスクリーンに移動させてしまう。毎週毎週、同じシネコン内でスクリーンの移動されたら、チェックしきれなくなるのも当然だし、もうお手上げだろう…。

直接、劇場に問い合わせた人のブログによると…TOHOシネマズ六本木はスクリーン3・スクリーン4・スクリーン5・スクリーン6は4K対応してるのだとか…。

その他のスクリーンは2Kプロジェクターということだろう。

家電製品は1年も経つと新商品に入れ替わるが、撮影機材も年々激しく入れ替わり進化が著しい。

いまや4K動画なんてiPhoneでも、その他のスマホでも撮れてしまう世の中である。

本作の撮影カメラは"ARRI ALEXA 65"という6Kカメラ。せっかくクソ高いレンタル料を払って撮影したのに、全く活かすことのできない上映方式で垂れ流すのは如何なものか?

せめて個々の劇場が「当館では撮影方式を十分に発揮するプロジェクターではございません」と一言、どこかに注意書きをしなくてはならないだろうが…

それか…いち早く対応プロジェクターを増やすべき。同じシネコン内なのに、スクリーンによって方式が違うのは詐欺ではないのか?違うなら違うと言ってよ。それなら、そこで見なきゃいいだけなんだから。


いまや、ほぼ全ての映画館がデジタルプロジェクターになってるはずだが…
その種類はDLPとLCOSという映像の出力方式の違いで分かれるらしい。

DLPはTI社の特許技術で、どのDLPメーカーもこのTI社の技術を使ってプロジェクターを作っている。

LCOSはDLPとは違い、液晶の技術を使って映像を出力。

最近よく耳にするレーザープロジェクターというのは、光の出し方がレーザーユニットなだけで、プロジェクターの種類としてはDLPかLCOS になると。

IMAXやドルビーシネマはDLP。

そしてLCOS方式を採用しているのはSONY。独自のLCOS技術でSXRDを作り出し採用。日本ではSXRDシェアが多いようでTOHOもだと…

実際に何社が使用しているか確かめてないので詳細は不明。TOHOにも問い合わせてはいないので…。


実際にSXRDのプロジェクターを劇場で使ってる方のブログによると…

短所は…
「まず一番に暗い」

「映画館の映像って投影するための基準がありまして、白を映した時の輝度を14ftLにするという基準があります。同じDLPの14ftLと比べるとなんか分かりませんがSXRDって暗く感じるんですよね。
輝度を保つためのはずのシルバースクリーンにすると余計そう感じます。
暗くて不自然な場合は目視で輝度をあげてしまっています。上げすぎても良い事がないのでこの辺はランプや色味などの都合を見ながら感覚で調整します」

短所2…

「それから相当運がよくないと、色むらの無い状態が作り出せない」

「もう、仕様って事で諦めているんですが、SXRDの方式上どうしても画面フチなどにムラが発生します。色のムラに直結する部品に光学ブロックというのがあるのですが、個体値の良い光学ブロックはソシャゲのSSR引く確率(単発)ぐらいの確率であり、なおかつそんなに数を交換できる物でもないので、まあ期待値低いです。10年間でかなりの数の光学ブロックを交換してもらって来ましたが、1個か2個しかありませんでした。それでも運がいい方だとおもっています」

と指摘しつつも…

「ちなみにこれらのトラブルはSXRDが悪いんじゃなくて、仕様みたいな物なのでそこは勘違いしないようにと思います。
DLPにも少なからず、DLP特有のよくあるトラブルがあります。
映画館に限らず、どの分野の仕事でもそうだと思いますが、使う機材のメリットデメリット、トラブルなどを如何にコントロールしてサービスを提供していけるのかがその道のプロだと思っていますので、プロですわってドヤ顔できるように日々精進して頑張らなきゃなーと思っています」

TOHOシネマズ六本木のスクリーン9を担当した映写技師は、果たしてこんな気持ちで取り組んでくれたのだろうか?

営業前に必ず上映チェックしてるはずである。ちょっと暗いなぁ?と思わなかったのか?もう少し輝度を上げようかな?とか思わなかったのか?それで不自然になるなら、4K対応スクリーンを同じシネコン内で持っているのだから、そっちでやらせてくれと上司に掛け合わなかったのか?

客入らないから、4K未対応の古い機材の方でやって…と言われて戦わなかったのか?

この被害を受けるのはお金を払って見ている我々なのに…なんだか腑に落ちないよ。

始めから終わりまで…とにかく画面が暗くて見にくいなァというのを、どうしたらイライラせずに物語に没入できるかを試行錯誤していて…そこで余計な脳みそを使い、物語を全く消化しきれなかった。

しかも…長尺の作品ということもあり、わざわざ3,000円のプレミアムシートに座っていたのに…画面が暗いという、作品とは全く違うところが原因で全く楽しめなかったのは本当に悔しい限りである。

時折り、場内には笑いなども起こっていたのだが…他のお客さんは何とも思わなかったのか?見にくくなかったのか?

特にスクリーンの四隅が圧倒的に暗かったけど…

私が気にしすぎなのか?
ネビュラよろしく黒いコンタクトを私だけつけていたのかしら?だから暗かった?

もう一回、他の劇場で見るかな…
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