みりお

彼女のいない部屋のみりおのレビュー・感想・評価

彼女のいない部屋(2021年製作の映画)
3.8
オンライン試写会にて鑑賞。

「ーー家出をした女の物語、のようだ」
海外メディア向けに公開された紹介文は、ただこの一文だけだそう。
試写会の前後でも、何度も何度も「真実は語ることなく、感想を述べてほしい」と注意が入ったので、極力内容に触れないように。
でもこの物語は、真実を語ることなく感想を述べることは、本当に難しい。

けれど、一言で述べるとしたら、切なく美しい物語だった。
まるで編集ミスのように、脈絡もなく断片的に続く映像と音楽。
まるで整合性がなくて、目の前に映像が展開されていることはわかるけれど、その中身も背景もわからず、なにを観せられているのかわからない。
けれど、その体験こそが真実。
いざ事が起こったとき、現実と想像の境目はきっとこんな風に曖昧で、目の前で起こることの大半がこんな風にわからないまま、混乱の中に過ぎていくんだろう。
パズルのようにバラバラに散らばったクラリスの観た景色が、あるひとつの真実を契機に繋がるとき、ようやく全てに納得できる。


【ストーリー】

「家出をした女性の物語、のようだ」


【キャスト・スタッフ】

*監督:マチュー・アマルリック

『007/慰めの報酬』でみりぺでぃあ記載済。
と言っても、"華のない悪役"といったイメージしかなく…
こんなに静謐な作品を作れる才能のある方だとは思わなかった💦
俳優業も順調ですが、監督としても1997年『スープをお飲み』でデビューして以来、『さすらいの女神たち』(2010)でカンヌ映画祭の監督賞を、『バルバラ セーヌの黒いバラ』(2017)ではカンヌ映画祭ある視点部門開幕作品に選ばれるなど高く評価されているそうです✨


*クラリス:ヴィッキー・クリープス

『オールド』でみりぺでぃあ記載済。
いや〜素晴らしい✨
この作品の成功は、ヴィッキーの肩に掛かっていたと言っても過言ではないくらい、彼女の表情に惹き込まれ、騙されていく…
本作ではセザール賞最優秀女優賞にノミネートされているそうです✨


*マルク:アリエ・ワルトアルテ

フランス出身🇫🇷
舞台芸術を学んだ後、ベルギーやフランスで映画俳優としてのキャリアをスタート🌟
主な出演作は『アナーキスト 愛と革命の時代』『フレンチ・ラン』『Girl /ガール』など。
本作では2022年のらマグリット賞(ベルギーのアカデミー賞)の最優秀男優賞にもノミネートされたそうです✨
みりお

みりお