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The Scary of Sixty-First(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

The Scary of Sixty-First(原題)(2021年製作の映画)
1.0
[ラストナイト・イン・ニューヨーク] 0点

2021年ベルリン映画祭エンカウンターズ部門選出作品。ベラルーシ出身のダーシャ・ネクラソワによる長編デビュー作。彼女は2018年のSXSWでinfowarsの取材を受けた際、セーラー服を着ていたため"セーラー・ソシアリズム"という渾名を付けられたことで有名になった人物らしい。物語はニューヨークのマンションに引っ越してきた二人の女性を描いている。一等地にあるのに格安かつ居抜きで使っていいとのことで契約したものの、変なところに鏡が付いていたり、玄関が横並びで二つあったり、備え付けの冷蔵庫にカビの生えた料理とネズミの死骸が入っていたり、壁に謎の引っかき傷があったりとなんだかワケアリな雰囲気を漂わせている。そして、ジャーナリストを名乗る女性がやって来た時、このマンションがペドフィリアの大富豪ジェフリー・エプスタインの持ち物であり、借りた部屋でなんらかの犯罪行為が行われていたことを知る。

本作品は明らかにポランスキー『ローズマリーの赤ちゃん』『反撥』等のマンションホラーを念頭に置きながら、70年代くらいのパラノイア系ホラーを現代に再構築しようとしている。そして、そこに陰謀論云々という現代的な文脈を組み込もうとしている。ここまで共通性があるなら思い出すのはただ一つ、エドガー・ライト『ラストナイト・イン・ソーホー』である。途中から悪魔憑きみたいな展開も加わるため余計に似ている。そして、同作に対して感じた気持ち悪さと全く同じ感情を本作品に対しても感じることとなった。同作にはまだ"懐古趣味の中に闇の歴史を埋もれさせない"というメッセージ性を辛うじて感じられたが、本作品はエプスタインとその被害者たちに執着しながら掘り下げることをせず、寧ろそれを口実にフェティッシュプレイに興じる女性たちを撮りたかっただけのような気すらしてくる。

エプスタイン本人にも死にも仲間にも被害者たちにも、何の興味もなさそうなので、どうして言及したのか本当に理解できない。
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