リプリー

N号棟のリプリーのレビュー・感想・評価

N号棟(2021年製作の映画)
3.8
前々から気になっていた作品で、ようやく鑑賞。
幽霊団地と噂され、廃墟とされている場所に来た大学生3人。しかし、そこは廃墟などではなく奇妙な住人がいて、次々と怪奇現象が起こるのだった。というもので、設定的にはよくあるホラー映画なのだが、本作は見るべき場面が多いように思う。特に、棟全体が怪奇現象に襲われるのを引きで撮るショットは、チープさが全く無く、日本映画らしからぬ景気の良さがあって個人的には白眉。
生と死を巡るテーマ性もやや掘り下げ不足な感じはあるが嫌いじゃない。
とはいえ本作の最大の魅力は主演の萩原みのりだろう。
死を恐れ、とにかく人との接触を好む彼女の病み具合は、なぜだか嫌いになれない。それは彼女が常に生への執着を見せるヒロインだからだと思う。拉致監禁されてから、あるものを使って見事に脱出する場面なんかは僕は大好き。
ラストの悲痛ともとれる心の叫びも良かったな、と。
この監督さんのホラーにはまた期待したい。