「恋なんてしない」みたいな話をしたかと思えば、美男子が出てくれば話は別、とばかりにすぐに関係を持つ。
「君を苛立たせるよ」という彼の言う通り破滅の香りがプンプン漂っているのに同棲を開始して…。
とことんしみったれた話で、言ってしまえば最低なはずなんだけど、どこかおかしくて愛しい。
そんな愛すべき物語をフランソワ・オゾンは見事に語りきったと思う。
オリジナル版は未見だが、このカラリとした感じはオゾン版特有らしい。
見ている間、終始面白く「やっぱりオゾン監督すげぇ」と馬鹿みたいな感想を抱く始末。
パンフレットがかなり充実していて、オゾン監督のインタビューでは、彼が芸術家としてだけでなく、職業監督としての一面も見ることができ、大変興味深かった。