アンナ

ドント・ウォーリー・ダーリンのアンナのレビュー・感想・評価

3.4
冒頭から典型的なアメリカンドリーム、劇中で何度も語られる「ビクトリー計画」とやらの幸福な生活がこれでもかと見せつけられる。
けどどこか常に違和感があり、サブリミナル的に挟まれる不穏なカット、メタファー的なシーンやセリフ、幸福な生活のルーティンに挟み込まれる洗脳的な放送…何かがおかしいと思うのに、核心に触れられないもどかしさと焦りを主人公を通して追体験できる。
美しい万華鏡をずっと眼前に固定されているような妙な息苦しさがある。

BGMの使い方や暗喩的なカットや台詞回しが巧みだった。中盤で主人公の夫がみんなの前でボスの言いなりに踊らされるカットは見たまんま操り人形さながらで、冒頭から繰り返し表現される全体主義的な考え方とか宗教じみた人間関係性から、どうオチをつけるのかワクワクしながら観た。

いろんな部分で結構ミッドサマーみはある。
ワンダイレクションのハリーみたいな人出てるなと思ったらほんとにハリーでおもろかった笑
ハマり役で演技もすごく良かった。

オチは正直期待以上ではなかった。まあそんなとこだよね〜って感じ。ただ思ってたのとは別方向で予想以上におぞましかった。
男たちの理想に付き合わされるのなんか溜まったもんじゃねえよ、としか。

全体の細かい設定とかその後が分からないのは割とモヤるかも。これちゃんとオチてるって言えんのか?と思う程度には消化不良感はある。
伏線めいたものもたくさんあったけど、結局あの揺れってなんだったの?とか、飛行機の件とか、ボス男の奥さんの目的とか…。
ああいうタイプの女性があそこにいることをわざわざ選んでいる理由があんま見えてこず、終盤失速した印象。
アンナ

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