北斗星

ザ・ホエールの北斗星のネタバレレビュー・内容・結末

ザ・ホエール(2022年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます


『人は誰かのことを気にせずにはいられない。』
おぞましい、見たくないと言いつつ、毎日誰かしらチャーリーに会いに来る。


チャーリーが動くと周りがざわめき水しぶきの音がするよう。

『ここまで歩いてきて!』 歩けなかった。
チャーリー、それが今の君の現実だよ。


白鯨を殺せば何もかも解決するんだ。
殺しても何もなかった…。

鳥にあげてた餌の皿が割れてた。


『生まれてきたからには生きた証を残したい!』
分かる。分かるが、それはやっぱり親…、いいや人間のエゴなのだろう。

娘も、こうなったのは全てあんたが捨てたせい。うまくいかないのは家庭環境のせい。
あと10年歳をとったらそれは通用しなくなる。現実は厳しい。


今の彼女は果たして、不幸なのかな。



娘がチャーリーを睡眠薬で殺さなかったのは、父親は自分が想像してた最低なヤツじゃなく、何となくコミカルで憎めない、いい人だったからじゃないか。


彼女が青年にしたこと。
親切心からではなかったと思うが、荒療治だったけど結果的には青年も家族の元へ帰ることができた。

看護師から聞いた亡くなった彼氏の話し。


血の繋がってる子供のことを、余命幾ばくもないなら尚更、考えない親はいない。やっぱりつくづくそう思う。
 


ラスト 
外は晴れた。

家の外に出た娘。パッと顔が光に照らされた。

二人が共有してた想い出。
エッセイの宿題。
あの晴れた日の砂浜。

チャーリーも歩き、娘の前まで行こうとした(或いは共に外へ出ようとした。娘をハグしようとした。?)が…。
一瞬だった。


チャーリーはもはや信仰に救いを求めてはいない。死ぬ時神に召されることも望んでいない。ただ彼は娘が健康で幸せに生きていること。誰かに大切にしてもらえてること。そして娘と喧嘩別れのままになっていないこと。
それが確認できればあとは、、。








――――――――――

いやあ、また違ったタイプのすごい映画を観た!あらゆる事を考えざるを得ない。他人事じゃないし身につまされる。
ホラー、ミステリー、ヒューマン、、カテゴライズ出来ない。
余韻と、あのシーン実はこう言う意味か?と後から後から出てくる。

信仰について日本人の私にはあまりピンとこなかったが、生まれた時から宗教が身近にある外国人は、もっと信仰や神がピタッと心に寄り添っているんだろうか。
亡くなる時に神に召されない、家族(愛する人)に看取られない。または過去に愛した人たちのいる彼岸へ。…それすらない=不幸、となるのかも知れないなあ。

2023/10/8,9 ザ・ホエール
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