切り開け、運命。
中国のとある村に住む貧しい少年・チュンが獅子舞競技に出会い、仲間たちと切磋琢磨したりしつつ大きく成長していく姿を描くCGアニメーション。
日本人がイメージするおっとりした獅子舞とは違い、獅子舞同士がバチバチでその演舞を競い合う華やかで激しい獅子舞競技に冒頭から目を奪われた。
日々悔しい思いをしてきたチュンがやりたいことを見つけて生き生きとしていく姿は微笑ましく、王道の少年たちの青春物語が続いていく....
かと思いきや、物語は突然転調し社会の厳しさ残酷さが波のように襲いかかる。
よく検閲を通ったなという感想を見掛けたけど、あまりにも生々しい現実が切り取られていて、敢えてそういう演出を選んだ製作陣の強い意志に想いを馳せずにいられない。
辛い毎日でも、もう全て諦めてしまいそうでも、もがく人の手に小さくてもきっと希望の光は灯ると言ってくれているよう。
性別を理由に、年齢を理由に、環境を理由に、夢を諦めた人たちにもチュンの熱が伝わっていくのが感動的だ。
そしてラストの言葉にし難い美しさ。
劇的に現実が変わるわけではなくとも、仲間と駆け抜けた日々がチュンの現在と未来をずっと支えてくれるんだろうな。
中国のアニメを観るのは初めてだったけど、技術面でもストーリーのメッセージ性の部分でもハイレベルで、こんな水準のものを作っているんだ！と驚かされた。勇気を貰える、是非多くの人に観て欲しい作品だ。
