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エノーラ・ホームズの事件簿2のLCのレビュー・感想・評価

4.0
面白かった。

前作より謎解き自体の存在感が増したように感じる。
そして、前作からひとりで踏ん張ろうとする主人公が、誰かを頼ることは弱さではないと気付く、その為の物語。

兎に角頑なに他者の手を借りようとしない姿勢が目立つ。前作で共に未来へ立ち向かった人とすら、距離を置いたままのようだ。
ただ、評価されないどころか、自分の解決したケースすらも他者には兄のものとして認識されていたりして、頑なな態度も理解できる。同時に、過小評価とか男性優位思考とかに晒されて、満たされない寂しさもあっただろう。自身の探偵事務所も畳んでしまった。
正当な評価を求めることと、寂しさを埋めること、それらを同時に満たせるのは、他者を助けること、つまり、必要とされることだったんだろう。そういうわけで、相手からの助言には拒否反応を示すが、自分は助言したがる。素直に期待し評価してくれる依頼者の登場は、心底嬉しかっただろうな。
また、今作ではあまりお目にかからなかったが、前作では主人公を「女性の型」にはめることばかりを考えていた兄の負の影響も、強く表れていたのではないかと思う。
平たく言うと、人間不信に片足突っ込んだ状態と言うか。何らかの地位にいる、特に男性に対する不信。

前作ではひとりで頑張った結果窮地に立たされたりするわけだけど、今回も同様で、絞首刑が執行される寸前までいったりする。
母親は、そんな娘に「一緒に戦う仲間を見つけること」を説く。母にも連帯できる誰かがいるわけだけど、それは組織を立ち上げて指示を聞かせるような関係じゃないよ、と。
ていうか、元気そうで何よりです。本当に元気そうで、クスッとしましたよ、お母さん。

消耗品として踏みつけられる立場にいた女性たちの発したノイズが、見終わった後も聞こえてくる気がする。何を言えば良いか、どうすればいいのかわからなくても、色々な表明方法があるものだよね。
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