まぬままおま

カリガリ博士のまぬままおまのレビュー・感想・評価

カリガリ博士(1920年製作の映画)
4.0
ロベルト・ウイーネのドイツ表現主義映画。

ドイツ表現主義とは何たるかはまだ勉強中ですが、舞台装置が特徴的だ。
舞台に引かれる曲線や四角ではない扉、うねる家などとても面白い。

そして本作は岩崎(1971)によれば、「人間の「魂(ゼーレ)」ーSeeleという表現主義者たちのもっとも好んだ用語を借りてーの問題を扱おうとした最初の例」(p.152)である。

内なる殺意や他者の操作欲を物語に落とし込んでいることになるほどと思ったし、ラストの展開は凄いと思った。フランシスはカリガリ博士と夢遊病患者・チェザーレの犯行を追っているが、実は彼の方が夢の中にいるのでは、という疑いが生じている。それはまた私たちが捉えたかにみえる映画内世界の現実と虚構が攪乱することを意味する。

後の作品に多大な影響を与えた本作。影響を受けた作品もみていきたい。

参考文献
岩崎昶(1971)『現代映画芸術』岩波書店