映画おじいさん

まむしの兄弟 恐喝三億円の映画おじいさんのレビュー・感想・評価

まむしの兄弟 恐喝三億円(1973年製作の映画)
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同監督『兄弟仁義 逆縁の盃』同様、母が恋しいヤクザ者を扱った作品だけど、こちらは格段にバカバカしい作り。

中国人の母に捨てられたマオ(松方弘樹)が「オレは日本人じゃないぞ」と言うとマサ(菅原文太)が「国籍なんて関係ねえ」と返すやりとりが、今の社会事情のせいか何てことないのに心に残った。
このシーンのイントロで赤いスポーツカーのドアをバタンッとカッコ良く閉めるアップがあるけど、どう見たって半ドアなのがすごく気になったのは私だけではないはず。明らかにわざと(それとも過剰な早撮り?)なので、こういう謎な演出も凄いなと思った。

どうしようもない下ネタを含むバカバカしいギャグとスプラッターな殺陣が平行して描かれるけど決してそれらは交わらない。そこが素晴らしい。

現在流行りの映画によくある、例を挙げるなら『デッドプール』(洋画ですけど)のような、主人公がギャグを飛ばしながらスプラッターに人を殺す反吐が出るような下品な演出はいつからトレンドになったのか。今の映画製作者は本作を観て反省していただきたい。

と言ってはみたものの、そんなに好きな映画ではありませんでした。