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イル・ポスティーノのkuuのレビュー・感想・評価

イル・ポスティーノ(1994年製作の映画)
4.0
『イル・ポスティーノ』
原題Il Postino.
製作年1994年。上映時間107分。

南イタリアの小さな島を舞台に、純朴な青年が島を訪れた詩人との交流を通して成長していく姿を描いたヒューマンドラマ。

実在したチリの詩人パブロ・ネルーダが祖国を追われた際にカプリ島へ身を寄せた史実をもとにしたアントニオ・スカルメタの小説を映画化。ナポリ沖合の小島に、祖国を追放された詩人で外交官のパブロ・ネルーダが滞在することに。世界中から届くファンレターを配達するため、島の青年マリオが臨時配達人として雇われる。美しい砂浜でネルーダは自作の詩をマリオに聞かせ、詩の隠喩について語る。マリオはネルーダの温かい人柄に惹かれ、2人は友情を育んでいく。やがてマリオは島の食堂で働くベアトリーチェに恋をする。

日本じゃ認知度が低いけどノーベル文学賞をとっているパブロ・ネルーダちゅうチリの詩人がいる。
この作品は、共産主義者ゆえに祖国を追われた詩人が、ナポリ沖合のコマイ島に流されるところから始まりまる。
島で暮らしているこの有名な詩人のもとにゃ、沢山のファンからの手紙が届く。
その量は郵便配達人をひとり増やさなければならないほど。
そして、新たに郵便配達人として雇われたんが、マリオ(マッシモ・トロ イージ)ちゅう野郎。
彼は無学やったが、詩人に手紙を届けとるうちに詩を書くことやその楽しさを知り、詩人になっていく。。。
門前の小僧習わぬ経を読む如しかな。
とても良い作品でした。
この映画はきっと多くのひとに愛されるんかなぁって。
無学な野郎が言葉を選び、組み合わせることによって得られる知的な興奮のようなモンが表れてとる。
ナポリの島の景色もいいし、音楽も詩も恍惚。
伊太利人の日々の生活や、情熱、ほんで愛とかも巧みに描いていた。
観とって笑えるし、涙さえも流れる。マリオを演じたマッシモ・トロイージは肝臓病で亡くなってるんやけど、中々どうして味がある。
パブロ役のフィリップ・ノワレも、仏国人やのに、チリの感覚をよく出しているし。
中々お目にかかることない素敵な映画やったかな。
なんでも、ニューヨーク市での劇場公開は非常に長かって、ほぼ2年のロングランやったらしく、ビデオのリリースとプレミアムケーブル放送の後も劇場で行われていたのも今作品が愛された左証かな。

余談ながら、実際のパブロ・ネルーダは1951年から52年にカプリ島に滞在しとった歳は、40代後半。 
俳優のフィリップ・ノワレは、この映画で役を演じたのは60代。
これは、ネルーダが64歳だった1969年に設定された、アントニオスカルメタのオリジナル小説の『アルディエンテパシエンシア』(郵便配達員)の時期と一致してる。
最後にパブロ・ネルーダの詩をお一つ。

パブロ·ネルーダ
20の愛の詩と絶望的な歌詩19

暗くて機敏な女の子、
実を結ぶ太陽、
小麦を固めるもの、
藻をねじるもの、
あなたの体を幸せにしました、
あなたの明るい目そして水の笑顔を持っているあなたの口。

気になる黒い太陽があなたの糸を包み込むあなたが腕を伸ばすとき、
黒いたてがみの。
あなたは小川のように太陽と遊ぶ
そして彼はあなたの目にXNUMXつ(XNUMXつは、地球に対する神の栄光)の暗いプールを残します。

暗くて機敏な女の子、
何も私をあなたに近づけません。
正午のように、
あなたについてのすべてが私を連れ去ります。
あなたはミツバチの気まぐれな若者です、
波の中毒、
スパイクの力。

しかし、私の憂鬱な心はあなたを求めています
そして私はあなたの陽気な体、
あなたのゆるくて細い声が大好きです。
甘くて決定的なブルネットの蝶
麦畑と太陽、
ポピーと水のように。
kuu

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