Omizu

オンマ/呪縛のOmizuのレビュー・感想・評価

オンマ/呪縛(2022年製作の映画)
4.3
サム・ライミ製作のホラー。『キリング・イブ』のサンドラ・オーが主演をつとめた。「オンマ」は韓国語で「お母さん」の意味。サンドラ・オーは『サイドウェイ』などの映画監督アレクサンダー・ペインの元妻としても知られている。

アメリカで養蜂を営むアマンダと娘のクリス。あるとき韓国からアマンダの叔父がやってきて、母の遺骨を埋葬するように言われる。それからアマンダは母の存在を感じるようになり…

すごくよかった。今年のホラーではベスト級に好きかも。韓国の風俗ホラーとしてもビジュアルがいいしサンドラ・オーも好演している。

確かにジャンプスケア演出が安易だとは思うものの、なかなか見せ方に凝っているし、なにより「オンマ」が怖すぎる。

オンマがアマンダに何をしたか、これは少しセリフで説明しすぎ。言わなくても演出で見せてくれた方がインパクトあるし効果的だったはず。そこが残念。

でもアメリカ移民としての苦しみを子供に当ててしまったオンマの怨念は怖いけど哀れでもある。「私は母のようにはならない」と思っていても親の呪縛からはなかなか抜け出せない。それは虐待の連鎖反応として現実によくあること。

オンマの苦しみが怨念となってアマンダにふりかかる。アマンダはそれを感じているからこそクリスにも同じ事をしてしまうことを恐れている。哀しみの連鎖を上手くみせていたと思う。

韓服や面といった韓国風俗を当事者として理解しているからこそのホラー描写だと思った。サンドラ・オーや娘役のフィヴェル・スチュアートも韓国系で、その意味でも今日的な作品だと思う。

捻ったホラーが流行している今は物足りなく感じるかもしれない。でもストレートなホラーとしてよくできていると思う。かなり好きな作品だった。終わり方もいい。
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