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2046 4Kレストア版のyzのレビュー・感想・評価

2046 4Kレストア版(2004年製作の映画)
4.5
コンディション悪いし家だし味わいきれていないのが明確だけど良い作品なのはよく分かる。映画館で観たい。

2046という数字が意味するのが香港にとっての2046年から来ているのは多くの人が言うとおりだと思うし、それが王家衛・香港の人にとって重要な要素である場合その意味を簒奪したくはないが、普遍的な人間の問題でもあると思った。香港の時が流れその時になったら一つの終わり(変化)を迎えることが決まっているように、人間も生まれたら死ぬということだけは決まっている。
時間は流れたら止めることは出来ず、一つの方向に動き続ける。始まりと終わりだけがそこにある。その前提に立ちそれなのに、香港の置かれた状況やなぜ生きるのか/どう生きるのかという諦念を感じる。そんな人生の中で、なぜ他者と恋愛関係に至るのか。なぜ小説を書くのか。なぜ映画を観るのか。

始まりと終わりのその只中にいる人は過去に囚われてしまう。それは想像と可能性に繋がる。もう戻れないからこそ、ありえた可能性を想像してしまう。過去は記憶になって行動に影響を与え、現在そして未来を変えてしまう。記憶を思い出すことも未来の可能性について考えることも想像だ。
そしていつか終わるし、記憶は薄れゆくから残そうとする。過去をベースに近未来の小説を書く。ここでも過去は未来に繋がっている。小説を書くことは想像して創造することだ。小説も未来も過去と現在からしか生まれ得ない。だからこそ想像し続ける=チャンスを求め続ける。

しかし今はまだ香港も彼らも私(あなた)もハッピーエンドにする方法は分からない。
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