近本光司

ビッグ・イン・ベトナムの近本光司のレビュー・感想・評価

ビッグ・イン・ベトナム(2012年製作の映画)
2.5
社会主義体制にあったベトナムから1988年に脱出したが、アメリカに亡命することは叶わず、トゥルーズを経てマルセイユへと逢着した人びとについてのドキュメンタリー。「故郷喪失」というマティ・ディオプという映画作家が抱える主題の萌芽が見受けられるが、どうしてここでベトナム移民を被写体として選択したのかはよくわからない(ひょっとしてデュラス?)。魅力的な被写体を見つけているように思うが、ドキュメンタリーとしてはいくらか中途半端で、彼女の詩性によって無理やり映画としての体裁をつくろっている感じを受けた。故郷は遠くありにけり。亡命のときに入れたという腕の刺青は、クロース・アップで映してほしかった。