ブロオー

アポロ10号 1/2: 宇宙時代のアドベンチャーのブロオーのレビュー・感想・評価

5.0
いい作品でした。
作家性がある作品というより、個人的な作品といった出来上がりで、こうした随筆的な作品が作られることはいいことだと思う。ただ、やっぱり映画というメディアの特質上、随筆文のような個人的な作品は少なくなるでしょう。
ヒューストンの街は、NASAと野球のアストロズがあるというイメージそのままで、特にアストロズのことを考えると、ああした問題のあるワールドシリーズの初優勝は、地元の人にとってほんとうに悲しい出来事だっただろうなと、観て感じた。
街が開拓されていく様子や、1969年という時代背景と政治的な情勢とか、その街のある一個人にとっての当事者感覚が描かれることは貴重なことだし、観ていて面白い。誰かの個人的な話を聞くことと同じ感覚だった。
特に良いと感じたのは、子ども時代に焦点を当てて描いていて、アトラクションの乗り物とかボーリング場のゲームコーナーとか車の荷台に乗ったりとか、小さい頃の小柄な身体でしか出来なかったことや子どもだから許されていたことが多く出てきて、それは国とか言葉とか文化とかほとんどが異なる生まれの人であっても伝わるし、自分の小さかった頃を思い出して共感するところがあるので、良かった。子ども時代はこんな感じだよなと。