恭介

13人の命の恭介のレビュー・感想・評価

13人の命(2022年製作の映画)
3.9
洞窟に閉じ込められた13人の
少年たちの命を救う。

割と最近の実話をロン・ハワード監督が
リアリティに徹して描く
ドキュメンタリー的な見応えあるドラマ。

少年たちを救う為に集う無欲の人々。
何か役に立ちたいという使命感から
地元民はもちろん、海外からも
集まるボランティア。

史実が既に出ているがネタバレあり。












安否が分からない憔悴感。

全員無事と分かった時の安堵感。

そして救出手段がないと分かった時の
絶望感と虚無感。

全員無事という嬉しい知らせのはずが
見殺しにするしかないかもしれないという
絶望感は想像を絶する。

見つける(遺体であっても)為の
探索から、救出活動に切り替えなくては
ならない。しかし方法がない。

諦めるしかないのか。

しかし、ここから人々は底力を見せる。
なんの得にもお金にもならない
他の国の人々を救う為に
ボランティアで集まった洞窟レスキュー
専門のダイバー達と地元民、国家が
知力と体力と精神力を
駆使して救出活動を開始する。

その主要ダイバーに
ヴィゴとコリン、ジョエル。
この3人の芸達者ぶりをみるだけでも
見応えがある。

突拍子もない救出方法は
倫理的にも法律的にも結果次第では
世間から反感を買う恐れがある。

しかし何もしなければ確実に
全員死亡という結果が待っている。

民間人がその重責を抱えて決行する
までどれほどの葛藤と苦悩があったのか
想像すら出来ない。

しかし諦めない気持ちが奇跡を起こす。
ただ、奇跡という言葉が適切ではない
と思えるぐらい何千人という人々が
懸命に努力した結果が全員救出という
結果に繋がっている事を映画は
教えてくれる。

それほど過酷で困難な救出活動だ。
(結果的に2名の殉職者も出ている)

こんな実話を知ると無差別に
一瞬にして多数の命をいとも簡単に
奪ってしまう事件が更に悲しくなる。

かたや何十日もかけて何千人もの
力で「たった」13人の命を救う行動。

かたや一瞬で多数の命を奪う殺戮行為。

同じ人間とは思えない行動の乖離。

それでも本作のような映画を観ると
救われた気持ちになる。
人の人を思う気持ちと行動力って
素晴らしいと。

史実を知ってる人も知らなかった人にも
ぜひ見て欲しい。
恭介

恭介