まおう

ヨーロッパ新世紀のまおうのレビュー・感想・評価

ヨーロッパ新世紀(2022年製作の映画)
4.0
カンヌ国際映画祭コンペティション部門選出作のルーマニアのドラマ映画。
ドイツに出稼ぎに出ていたマティアスは仕事場で傷害事件を起こし、多民族で構成されたルーマニアのトランシルヴァニアの村に帰郷するが、謎の影に怯え喋らない幼い息子や老いて病に伏した父、愛人との爛れた関係など様々な問題と直面する。その最中、村のパン工場に新しく雇用されたアジア系の出稼ぎ労働者に差別的感情を抱く村人達の間で軋轢が生まれ始める。
昨今のルーマニアでの移民問題や人種差別にアイデアを得たという本作は、様々なシーンで生々しく観客の心を傷つけながら、得体のしれないものと直面した時の人間の心理や行動を描く。
描きたいエピソードが多すぎてストーリーの焦点が散漫になっている点や個人的に主人公がドクズ過ぎて生理的に無理な点などもあったが、見終わったあと心に深く暗い陰と爪痕を残していく印象的な一作。
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