Foufou

ノー・シャークのFoufouのレビュー・感想・評価

ノー・シャーク(2022年製作の映画)
-
新しさって色々だなぁとつくづく思わされる作品でした。

大金かけて、CGやらなにやら最新のテクノロジーを駆使して誰も見たことのない映像を演出……なんて触れ込みの映画でも、お話自体はクリシェ(紋切型)のパッチワークなんてのはザラにある。

その点、本作はまったく逆行するようで、開始早々、失敗だったかも、となる。サメに食われることが至上の死に方だと信じる若い女が変な水着を着て、浜辺で半日日光浴するだけの映画ですから。で、彼女の内的独白が途切れることなく延々と背後に流れている(字幕を追うのがもうタイヘン)。訪れるビーチごとに切ってある、十二話=十二日のオムニバス。紙芝居かよ、と苦笑するわけですが、まぁ、辛抱して見てご覧なさい、やがてクスクス、クスクスとなって、目が離せなくなる。

ニューヨーク周辺の海の表情がビーチごとに違うというのが、いい。表情が違えば、集まる人の性格も違ってくる。しかも低予算映画だから(?)、一話ごとに季節がどんどん秋めいていくし(寒そう)。

笑った笑った。やがて悲しきなんとやらで、ちょっと若かりし自分を見ているようなね。サリンジャーとかアーヴィングとか、ビート世代の短編集を一冊読んだかのような、そんな切ない気持ちになります。ただし一発屋の臭いが。するとどうでしょう。監督二作目は『インビジブル・シャーク』ですって。YouTubeで字幕付きで無料で見られます。
Foufou

Foufou