スワヒリ亭こゆう

ノック 終末の訪問者のスワヒリ亭こゆうのネタバレレビュー・内容・結末

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

M・ナイト・シャマラン監督の新作です。
前作の『OLD』からブラムハウスから離れて、また映画を作り出した彼の新作はどうなのか?
楽しみでした。

かなりSFよりのスリラー映画は恐怖や不安を抱かせる程には至らず、何となくストーリー展開は予想出来てしまう内容でした。
そこはかなり残念です。

お父さん2人養子の娘1人の3人家族の元へ見知らぬ男女4人が訪ねてきて、彼ら3人へ世界の終末を止めたければ3人の内誰かが犠牲にならなければならないと告げるんです。
お父さん2人は椅子にロープで縛られてしまうんです。

正直言って、映画を観る限りは訪問者の終末論はかなり突拍子がない。映画ならではのフィクションでまるで現実味が無いんです。
それは3人の家族も同じで彼らは一体何を言ってるんだ?って感じなんです。
で、ここからこの映画のポイントで3人の家族を脅して無理矢理、犠牲者を出させるのではなくて訪問者が自ら生命を捨てて世界の終末を見せていくんです。
訪問者の内、1人が死ぬと津波が起こり、もう1人が死ぬと疫病が流行り、もうひとり死ぬと飛行機が制御不能になり世界中の飛行機が墜落する。
その様を見せていくんですね。
この時に思ったんですけど、訪問者の死がトリガーになってません⁇
この4人が死ななかったら何も起きなくないですか?
3人の内、誰か犠牲者を出させる為に追い込まなければならないから、こういうストーリーにしたんでしょうけど、それを観客に気づかせてしまったのは工夫が足りませんね。

世界中に異変が起きてるところは3人の家族も観客も納得出来るんです。
だけど、何で3人の内1人死ぬと世界が救われるのかが分からない。
そこの説得力もかなり弱いです。
世界的な異変が起きてるにしても急に怪しい見知らぬ4人が訪ねてきて世界の為に誰か死んでくれ!ですから、かなり無理矢理なストーリーなんです。
3人の家族が何か呪われる様な事をしてしまい神様を怒らせたとか何かしらの理由がないとイマイチ納得出来ません。

2人の父親のうちのどちらかが犠牲になるのは容易に想像が出来ます。ひとり娘を犠牲に出すとは人道的に観ても考えられない。それならば世界を滅ぼしてでも3人が生きる道を選びますよね。
僕は脳震盪を起こしたお父さんが死ぬのを予想しました。
優しそうな性格だったし、この手のサスペンス及びスリラーは最初に大きな怪我(脳震盪)をした方が死ぬ確率は高いからです。
彼が死ぬ理由として映画のストーリーとしては未来が見えてパートナーと娘の未来が見えて、そこに自分がいなかったからでしょうね。
平和な未来に自分の姿が無い事で死ぬ事を選択出来たんでしょう。

それと、このお父さんは人影が見えたってしきりに言ってましたけど、何か分からなかったですね。
神か悪魔か分かりませんけど、映画に魅力が無いのでこの手の宗教的若しくはスピリチュアルな演出は効果的とは言えません。

全体的にも緊張感に欠ける内容で4人の訪問者にも緊迫感は見えず、この映画のやり取りが退屈な感じに見えてしまいました。
ブラムハウスと手を組んで映画を撮ってる方がM・ナイト・シャマラン監督にとって良いのかなって思いました。