北斗星

瀬戸内寂聴 99年生きて思うことの北斗星のレビュー・感想・評価

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去年、映画館に観に行こうかと迷っていたが、そうこうしてるうちに終映になってしまった…。
やっと観ることが出来た。
ドキュメンタリー。


寂聴さんが発行していた新聞を長年購読していた。書籍もよく読んだ。特に私が好んで読んだのは私小説や随筆、エッセイ。小説より断然面白かったりする。


寂聴さんがいつも言っていた言葉。
「生きることは愛すること」

今まで何となく解っていたつもりでいたが、「自分だけが幸せになってもつまらないじゃない。周りも幸せじゃなきゃ。」
最近その意味がストンと腹に落ちる。



昔、もっと自分が若い頃、京都の嵯峨野まで法話の会に出向いたことがある。200人ほど入る小さなお堂に満員!人が溢れていた!すごい熱気だった。
瀬戸内寂聴を初めて生で見たが、とても大柄に見えた(実際は小柄な方)。背ずじがピンとしていて肌つやもよく、そしてやはり近寄り難い威厳があった。



寂聴新聞が、寂聴さんご高齢のため最後のほうは半年〜1年に1回の発行になり、そしてとうとう366号をもって廃刊となってしまった。いよいよその時がきたか…と、思わず涙が出た。

一時代が終わった。女傑が逝った。




〜〜〜

このドキュメンタリーに出てくる「私、とうとうボケたかな??」と真顔でスタッフに聞いたり、泣いたりするところが失礼ながら可愛らしい。
整体のあと、自分で起き上がれなくなって整体師と笑い転げるところも面白かった。


厳しい事を言ったり、人を励ましたり、人間らしく無邪気なところがやはり寂聴さんの魅力なんだろうな。そしてあの屈託ない笑顔!


勿論、早くに子どもを置いて出奔し、のちに出家しているから、人並みならね苦労も背負い込んでいる。だからこそ人の役に立とうとしたり、多くの人を愛することが出来たんだろう。



晩年、あの世は無だと仰っていたが、旅立たれた今、それはどうだったのか寂聴さんに聞いてみたい気もする…。
🤤
北斗星

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