Ryoma

揺れるときのRyomaのレビュー・感想・評価

揺れるとき(2021年製作の映画)
4.0
幼さが残る見た目とは裏腹に、大人びたどこか達観したような眼差しや考え方を持った少年ジョニー。幼い妹の面倒も見て愚痴も言わずしっかり者の彼だが…それは、両親が家庭を顧みず親としての役目を果たせてないから余計になのかも。反面教師的な。
現代の喫緊な社会問題の一つであり、連日ニュース等での報道が後を絶たないネグレクトや児童虐待。犯罪学や犯罪を犯す者の行動心理についてはよく知らないが、代々親など周りの人から受けた経験のある者が次の世代に受け継いでしまっている節は大きいのだと思う。あと、その当事者が生きていく中での周りの環境やその周りの人が発する言葉遣いなど彼らが与える影響は良くも悪くも関係しているかもと。
純真無垢さ故に何ものにも変わってしまうほどに柔く脆い繊細な心を持った少年の姿が見てて痛々しくもあり苦しくもあった。その子どもの性質を踏まえると、人格が形成されつつある幼少期は人生を左右する可能性もある本当に大切な時期であるのかもと感じた。
ひとりの少年が様々な側面で成長する様が、ネグレクトや貧困などの社会問題を交えて描かれた本作に触れて気づいたこと…子どもの成長の早さには驚かされるばかりで、親が気づかないところで瞬く間に色んなことを吸収して成長していくんだなと。そして、大人が気づかないように、子どもながらに気を遣ってもいるんだなと大いに感じた。社会的課題は絶えることはないかもしれないけれども、こういう作品に少しでも多くの人が触れたり、実際に起きている事実を映像等のメディアで発信したりしていくことで世間の人々の考え方も少しずつ変わっていくのかもしれないなと感じた。
Ryoma

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