リプリー

ヴィレッジのリプリーのレビュー・感想・評価

ヴィレッジ(2023年製作の映画)
3.5
好きな方には申し訳ないが、僕はまったくハマらなかった。
タイトルや予告編から閉塞感のある村で起きるサスペンス、何なら土着ホラー的なものを期待したが、そこで繰り広げられたのは、一人の男の栄枯盛衰物語、メロドラマだった。
その栄枯盛衰メロドラマとしても正直食い足りない。
まず、主人公が成り上がるまでがウダウダウダウダ長過ぎる。そして成り上がり具合も足りない。この手の物語はもっと成り上がって、主人公の性格は変わらないと。そして観客はこの立場なら自分の場合どうするのか考えるから面白いんじゃないだろうか。
そこからの落ち具合も甘い。もっともっと追い込まないと。狂気を感じないのだ。切ない恋物語風にされてもな…。

サスペンスとしてもちょっと詰めが甘い気がする。いくらなんでも携帯を処理しないのは甘すぎるし、あの状況でパニックになっていたのだとしてもあの場所は、どう考えてもバレやすいでしょ。現にバレてるし。近くにおいておきたい心理というやつなのだとしても、そのあたりを説明してくれないと。田舎なんだから、誰も通らない山奥とかあるでしょ。普通。あと、舞台設定にも違和感があって、ゴミ処理場だけであれだけ有名になるか?観光客がいっぱい来ていたが、何目的なのだろう。文化云々といっていたのは能のこと?あんな小さい劇場で?説得力がまるでない。せっかく横浜流星が出てるんだから担当者がイケメン!みたいな形で話題になる展開も良かったが、まあそっちには振り切りたくなかったのだろう。
キャラクターも好きになれなかった。
とにかくウジウジしてる横浜流星。なぜか彼をやたらに構う黒木華(彼女がある場面でギャーギャー喚くシーンでは、他にやることあるだろ、と心底うんざりした)。一ノ瀬ワタルも悪役としてあまりに紋切り型のいじめしかしないし、動機が子ども臭い。
お話運びの面では、何か分かり切っていた顛末を謎解き的に見せられても感動も何もない。
ちょっと他の人の評価や作りての意図をしっかり読み込んでいないので、何ともだが藤井監督、僕は合わないかもと思ってしまった。