やっち88

窓辺にてのやっち88のネタバレレビュー・内容・結末

窓辺にて(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

日本の映画界で1番好きな監督、今泉力哉監督の最新作、個人的にはちょっと長く感じたので普段よりも評価低め。

主人公がよく持ってる人、持っていない人がいるということに対して、主人公がタクシー運転手のいう「贅沢」で持ってる人であるというのがわかるし、才能があると色んな人から言われるのをみてもわかる。それがすごく本人は気づいてないというか自分は天才じゃないと思ってるのが皮肉的で面白かったし、小説家が大きく関わる作品ということもあって、小説を読んでいるかのような気分になった。

主人公の気持ちが少しわかる気がする。好きだと思っていたのに、それを揺るがす出来事に出逢えばその好きだという気持ちが本物か偽物かが一瞬でわかってしまう。主人公自体それが本物だと思って生きてきたのに、いざ愛していた妻が浮気をしていた事実を知った時に「自分は人を愛せないのか」と知り、なんのために生きてきて、彼女と生活してきたのかが分からなくなる。すごく可哀想だ。でも、そのすごく可哀想と思う気持ちすら主人公には似合わない言葉でもあるのかなと、ショックに感じなかったことがショックだっただけで、奥さんがいちばん可哀想だと感じたからかな、いまいちここが自分の中で整理がついてない。あと、主人公の言う理解したくないっていうの結構刺さったかな。理解するってできないことだと思う。一部ならまだしも全てを。大抵はわかった気でいることを理解すると言うんじゃないかな。

ただ、奥さんも奥さんでやることやってるし、相手の好意を利用して満たされようとしていたし、自分を小説に書いて欲しかったなんて(推測)エゴでしかないんじゃないと思う。でもまあ、愛した人だからこそそういうエゴも芽生えたのかな…?

次にスポーツ選手で主人公の知人である正嗣。今泉力哉作品お馴染みとなりつつある若葉達也相変わらずいい演技するよね。本当にクズの解像度が高い。自分は浮気してるのに対して、主人公が浮気されてることにショックを受け無かったと打ち明けた時にありえないとかなり強く非難できるの普通に笑っちゃった。ただ、人間味があってこの作品のいい味になってたと思う。この夫婦との対比が凄かったな〜。

久保さんの元彼にサイコパスって直接言われるの笑ったし、大体の世間ってあんな感じなんだと思う。もちろん私も含めて。どうして久保さんはあの本を渡したんだろうか。私も分からなくて一生考えてます😶‍🌫️
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