マ

ダイアリー・オブ・ザ・デッドのマのレビュー・感想・評価

4.5
常にこの世の陳腐な資本主義や公民権運動等を意識し、"ザ・クレイジーズ"ではベトナム戦争に対する猛烈な皮肉を "死霊のえじき"では冷戦から軍事主義へと傾倒していくアメリカの緊張感を "ランド・オブ・ザ・デッド"にはブッシュ政権がイラク戦争を強行した事への怒りを映したロメロが語る、「世界が終わりかけてる時に記録をし続ける奴なんて、ただの傲慢な傍観者」 それでもカメラを持ち続ける意味って...

「ドキュメンタリーが撮りたかったけど、ホラーの道を選んだ」と言う通り、ロメロは悲惨な現実を作品へ常に反映させ ゾンビを通して社会の問題を見せつけようとしてきた けど、今作では 醜悪な現実で映画を撮りつづける事への苦しみが明確に現れ、言葉として語られる。町山智浩曰く「ゴダールっぽい。」
カメラのレンズを通すことは、問題を矮小化し 撮影者や鑑賞者を"傍観者"として感覚麻痺させる。そうだと分かっていても、映画を撮って 映像を(マジで)編集し 最後には自分を撮らせて(Shoot=撮る/撃つ)まで社会を少しでもマシにしたい という思いは最後の最後で少し弱まってしまう。"ナイト・オブ・ザ・リビングデッド"の時から人間性に対する期待なんて微塵も無かったか?

作品が公開してから20年近く経ってるけど、今作でロメロが感じている絶望感はより確実なモノになってしまってる。それでもカメラを持ち続ける人々は、映したものを他人事として処理する傍観者なのか、社会を救おうと苦しみ続けてるのか... 作る側はまだしも 正直映画好き(自分も含め)なんて問題を他人事化して「考えさせられ」たがる傍観者ばっかだと思うけど。
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