好き勝手なてそ

バーバリアンの好き勝手なてそのレビュー・感想・評価

バーバリアン(2022年製作の映画)
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ほう、なかなか面白かった。

■あらすじ
就職面接のためにデトロイトの町外れの家をAirbnbで借りたテス。
ところが、家にはすでに見知らぬ男キースがすでに住んでいて、外は治安が悪く危険だと諭されテスは仕方なくひとつ屋根の下で泊まることに。翌日、テスはこの家の地下に隠し部屋があることに気づくーーという話。

何系のホラーかはあまり知らないで見たほうが面白いかもしれない。

キースを演じていたのはビル・スカルスガルド。「IT The End それが見えたら終わり」のペニーワイズだった!全く気づかなかったなぁ〜。

■ざっくり感想
結局何が言いたいのかよくわからなかったんだけど、わりと怖かったしそこまでイライラするキャラクターもいなかったので楽しんで見れた。
ヤバい家に泊まってしまったーみたいなあらすじだけ見たので、サイコ系とか心霊系とか色々想像したけど、わりと思っていなかった方向の展開をして私的には良い裏切りだった。

「男性の女性に対する支配」みたいなのをやたら前半から言っていたので、そういうテーマもあったかもしれないけど、
ただもし私がテスと同じ状況になったらどうしたかなぁと考えると同じように一晩は泊まるしかなかったかな…ただ寝る時は鍵はかけるけど。

真相がわかればかなりシンプルな話だったと思うけど、
大きなパート区切りで視点を別の人物に変えたり、わざと誰かを怪しく見せたりすることで観てる側を錯乱させるような脚本になっていて、これが作品に深みを持たせていてよかった。
直前に観た別作品でも似たような技法が使われていたと思う。

ほか気になったところは下記に記します。


ーー以下ネタバレ含みますーー



■バーバリアンとは誰?
バーバリアンの意味を知らずに鑑賞したが、
【バーバリアン】とは、「1 野蛮人。未開人。2 無教養で野蛮な人。」とのこと。
【未開人】とは、辞書によっては「突如として生まれた、人間を超えた人間」とあり、それならば地下のマザーを指していそうだけど、
一方【野蛮】には、「乱暴で礼節を知らない」という意味もあり、それでいうとやはりAJやすべての元凶だったフランクもそれにあたる気がする。
AJなんかは自分自身のことを「善人」と表現したシーンもあったし、自覚してないぶんかなり悪質。
この映画は男性の(性)暴力が1つのテーマだったように思うので、あえて特定の誰かを指していないかもしれない。

■キースを怪しく見せる技法
テスの前にすでに家に泊まっていたキース。
紅茶もワインも要らないと言っているのに、やたら飲ませたがったり、テスが誰も知らないと思っていた映画のあらすじを言えたり、怪しさ満点。
Wi-Fiのパスワードを渡してくるシーンも映されたり、キースの免許証をテスが撮ったり、キースを疑いたくなるような細かい描写は出てくる。
そのくせに、前半でキースはあっけなくマザーに殺されてしまう。
なんならあんなに意味深だった免許証は、本当に何にもなさそうだったし?
このあたりがホラー・スリラー映画として撹乱させて面白くしているなと思った。

ただこの作品の場合、単純なブラフというより、「たまたま死んでしまったから何もなく見えただけ」説はあるなと思った。
あのWi-Fiだって安全かわからないし、テスがシャワーを浴びてる間にスマホやらPCやら何らかを調べて、話題を合わせた可能性だって0じゃないと思う。
キースは本名じゃなくて偽造免許証の可能性もあるのでは。
デトロイトのミッドタウンとは、まじでアメリカ内でも屈指の治安わるわるタウンらしいので、家を転々と渡り歩くようなキースが逆にわざわざ治安最悪のところを選ぶかねという疑問があった。
本当はやっぱり悪いことをするつもりだった人なんじゃないかなってちょっと疑ってる。

■マザーの特殊メイクすごい
気になった女性を地下に連れ込み、監禁、撮影し、自分の子どもを孕ませることに性的興奮を覚える異常者フランク。
フランクは数々のレイプを経て生まれた子供にまた性奴隷にしていたみたいな話だったと思うが、性暴力を受けた女性たちの怨念を力に変えたかのように最強になったマザー。
最初に出てきたとき、大きな胸がしっかり映り込むので、すーごいおっぱいだなと見ていたけど、
マザーを演じていたのはマシュー・パトリック・デイビィス。身長200cmの男性なんですね。
Youtubeのマシューのチャンネルにこの映画での特殊メイク中するまでの映像が公開されていたのでぜひ見てほしいです。
明るい部屋で見てもかなりリアルな特殊メイクなので見応えありです。

ラストシーンはもうひと押しほしかった気もするけど、まあ面白かったし結構満足。