Jonayama

マルナシドス -ゾンビの谷-のJonayamaのレビュー・感想・評価

4.1
スペインのゾンビ映画。

1938年、スペインの内戦に介入したナチスが死者をゾンビとして蘇らせる生物兵器を開発し限定された区画で実験を行った。
しかしすぐに制御不能となり谷は凶暴なゾンビが徘徊する死の谷と化す。

同じ頃、軍内でトラブルを起こした弁護士出身のヤン大尉は処刑を免れる代わりに味方のいない緩衝地帯を横断する伝令の任を与えられる。
任務遂行中、敵兵に捕らえられるもゾンビの襲撃に遭い生還するため協力することを余儀なくされる。


ナチスが生物兵器を開発…ってのはわりとありそうな設定だがちょっと馴染みのない珍しい舞台設定が印象的なゾンビモノ。
ちょっとコメディに片足突っ込んだようなテイストやけっこう気合の入ったゾンビとの戦闘シーン、深掘りはあまりないが個性的な愛すべきキャラクターたち、そして束の間挿入される美しい風景など個人的には好みの要素が多く盛り込まれたなかなか見どころの多い良い作品だと感じた。

102分という長くはない尺ゆえか世界観の奥行きなどはあまりなくB級的な作品なのは間違い無いだろうがかなり健闘したおもしろいゾンビモノだと思う。
Netflixは普段なかなか目につかないようなスペイン映画をたくさん提供してくれるのでありがたい。

スペイン映画はハリウッドモノほどキャッチーではなく派手さも劣る気がするが見劣りしない撮影技法や画のセンス、そして独特の陰りのある作風はとても好みだ。


余談だが"ナチスが新種のゾンビウィルスを使用するアクション映画"という点は『オーバーロード』を想起させるがB級的設定をシリアスな大作映画に仕上げたあちらに比べ、こちらもわりと予算をつぎ込んだであろう作り込みを映像から感じるがいかにもなB級的バカバカしさをしっかり盛り込んだ作品なので似た設定が味付け次第でこんなに変わるのかと驚く。
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