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バグマティ リバーのnanaのレビュー・感想・評価

バグマティ リバー(2022年製作の映画)
3.5

ショートフィルムを映画館で

「ぜんぶ、ボクのせい」の松本優作監督作品


突然届いた差し出し人の無い絵葉書。

10年間音信不通だった兄からのものと直感しネパールに兄を追うヒロイン。
このヒロイン那月を阿部純子さんが情感たっぷりに演じている。

気がついたら全く兄と会っていない、兄妹なのにお兄さんの事を何も知らない。
昨日まで疑問を持たなかった関係。
兄がいたネパールに向かい、そこで見た生と死の概念。

エキゾチックな異国情緒満載
セリフの響きまで神様を感じさせる。
国が違えばこんなに考え方が違う。

死というものをこう捉えられればある種の恐怖からは解き放たれるのかもしれない。



松本監督と親しかった登山家の栗木氏。
彼のドキュメンタリーを制作中に栗木さんは滑落事故で亡くなられました。
栗木さんの意志を継ぎ、かならずこの地で作品を作ろうという監督の思いが詰まった作品です。

栗木さんと実際にシェルパをやっていたマンさんが出演されている。
素人とは思えない演技でした。
「サポートは同じ」だそうで演技も素のまま臨まれたそうです。





~~~~~ティーチン~~~~~


金子大地さん
松本監督の大ファン
こんな普遍的なテーマを30分に凝縮されてる。
自然には抗えない。
死と隣り合わせ。
追体験で兄と別れられると勝手に感じた。
阿部さんは絶対ネパールに行って良かったと思っていると思う。
死と生に向き合える。
映画も自然に生かされてる部分はある。
圧倒的なロケーションに感化された。
プライベートな小さなことでも演技と仕事には影響する。
天気もそう。
如実に僕は影響されるタイプ。
松本さんの作品はお芝居を超越して俳優の実力以上を毎回出す。
いつか僕も超越したい。
一緒に作る人との距離感は難しい。
繊細な事から作品は生まれる。



松本優作監督
登山家の栗木さんが滑落事故でドキュメンタリーを撮っているうちに亡くなってしまった。
僕の解釈は(栗木さんが)自分が山に登る生中継をすることで皆さんが壁にぶつかる事を乗り越える応援をしている。
ネパールは死と生が共存している。
死んだらまた次を生きれるから悪い事ではないとネパールでは考えられていて日本とは違う。

撮影は大変で富士山さえ昇った事ないのに後悔した(笑)
高山病を避けながらヘリコプターを使用して撮影をした。
1番大切なのは役者さんが芝居しやすい環境を作ってあげること。
それをスタッフにも共有している。
ネパールの自然は自分達がいかに小さいか考えさせられる。



丁寧なトークのティーチンでした
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