Kana

SHE SAID/シー・セッド その名を暴けのKanaのレビュー・感想・評価

3.0
権力に負けて言葉を失った女性たちと向き合いながら、ハリウッド業界に蔓延るワインスタインのセクハラ問題を暴くために戦った話。

重い話ではあるけど、淡々と進むので、そんなに暗い気分にはならないで済む。
主人公の二人だけでなく、上司や同僚のリベラルで真剣な姿勢が頼もしかった。

女性たちの告白シーンが、ポツポツと、当たり前のインタビューのように描かれていてリアリティがあった。
探偵ドラマの告白シーンのように、積年の恨みを晴らすような感傷的な表現はない。
多くの者がみな、失った何かから目を逸らそうとするような、力無い表情で言葉を紡ぐ。
ただ、すごく、言葉を選んでいるのがわかった。
それがリアルだと感じた。

日本社会に生きていて、大なり小なり、性的な嫌がらせ、セクハラ被害に遭ったことのない女性は1人もいないんじゃないかと思う。
心の中で、本当は嫌だと思っていても、自分が大袈裟なんじゃないかとか、考えすぎなんじゃないかとか考えてしまって、嫌だと言えないことは多い。
自分がその立場になった時、深刻な話としてそれを話すのは、とても気を使うこと。
忘れられるなら、無かったことにしてしまう方が楽だし、言葉にすると現実になってしまうから。
「被害者」とは思われたくない。
でも、感情的に訴えて宥められたら、本気で聞いてもらえなくなってしまう…。
反対に、深刻に取られたくなくて、何でもなかったことのように話して、私は平気と、誤魔化してしまうこともある。
だけど、その態度が加害者を増長させてしまう…負の連鎖。

弁護士のラニー・デイビスが、ワインスタインを庇う言葉も印象的だった。
「権力のある年嵩の男性は、合意の上という意味を違った風に捉えている。」
10年後も、20年後も、こんなクソみたいな言い訳が通じる世の中であって欲しくない。

そしてもう一つ、告白者の1人が言った、
「娘には、虐待やいじめを普通のことと思って欲しくない。」
本当に、これからの社会のために、誰かが動き出す一歩が重要なんだと思った。

日本でも、今起きているのは同じ流れなのかもしれない。
(文春の人たちが正義のためにやってるのかはわからないけど、、、)
何が事実かはまだわからないけど、権力に負けない世の中であって欲しいと思う。

MeToo運動とミーガン・トゥーイー記者の頭文字が一緒なのは、偶然なのか…?
Kana

Kana