このレビューはネタバレを含みます
ヒルビリーホラーの新古典『X』の前日譚。
夢みがちに動物たちへ語りかけるオープニングは、まさしく趣向にあった古典的演出でありながら、鬱屈としたパールのもつ異常性を裏打ちした素晴らしい導入に。
単なる毒親ではなく母にも母の葛藤や苦悩などがあったと判明……するも、それはそれとして憎しみあう大雨のシーンは、映画史に残る最悪なディナーのひとつと言えるでしょう。
クライマックスの独白シーンもツラいし、ひきつった笑顔のエンドクレジットは壮絶!
蛆黴ダイニングやシンメトリカル死体処理など、終盤の画づくりの謎の贅沢さ丁寧さは最高ですね。
また「映画という魔法あるいは狂気に魅せられた人々」という前作に引き続くテーマは、ハリウッドスター・ワナビーのパールのキャラクターに前景化されつつ、ポルノ産業の可能性に気づく映像技師の先見の明として、『X』や『MaXXXine』への目配せにもなっています。
(まさかこの映画で噂に名高い世界初ポルノを観ることになるとは思わなかったけど……)
今夏公開の三部作完結編めちゃめちゃ楽しみなんですが、しかしあのワニちゃんは出てくれるんでしょうか……?