すずや

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしいのすずやのレビュー・感想・評価

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この社会を生き抜くつらさに寄り添い、またその残酷さを断じてもいる映画だなあと思った…面白かったし考えがいのある作品だった。
"ぬいぐるみとしゃべる"ことは、自分の弱さと向き合い、"自分は大丈夫じゃない"と認めるプロセスであったと思う。誰かに話せば相手を傷つけるかもしれない、と考えるほどにやさしい人たちは、自分のモヤモヤを一つ一つ紐解いていかないと、自分が何をつらく思い、何を苦しく感じているかに向き合えない。だから、最初は喋れないななくんが、そのプロセスを通じて、自分が何に傷ついているか気付いてしまう過程が描かれているのがすごく好き。
あと怖いなと思ったのがゆいちゃんの描写。彼女に対して、言葉を選ばず言えば「自分の言葉で誰かが傷つくことを想像せずに済むならどんなに楽に生きられるだろうか」と思ってしまった。ぬいぐるみと喋らないあり方は、自分の傷に向き合わないことだと彼女を通じて考えてしまった。
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