ブロオー

バートン・フィンクのブロオーのレビュー・感想・評価

バートン・フィンク(1991年製作の映画)
3.9
おかしい作品だと思います。
ヘンタイは苦しみ続けながら生きるほかないということなんだろうけど、市民の代弁者という自負があったバートンにとってはつらい現実だ。
前半はかなり丁寧に描かれているのでゆったりした印象で大丈夫かなと思ったが後半からテンポをあげていくのでなんとか2時間観ることができた。
デブがショットガンを持ちながら炎に包まれたホテルの廊下を走って叫んでいるのは、観ていて快感だった。ハイルヒットラーと言って警官の頭をぶち抜くのも最高で、完全にキレちゃってる。抑圧に対して過剰な反発をし過ぎている。
オードリーという秘書は魅力的で、社会的に精神を削られている感じが顔に出ていてとてもいい。やっぱりこうした底なし沼のような地獄を味わって苦しむ姿は、眼鏡の作家である主人公よりも綺麗な若い女性とか一見優しげなデブとかの方が映えるし魅力的だなと思った。
ラストシーンでバートンがオードリーの頭部が入っていると思われる小包を抱えて浜辺で座っているシーンはいい。これは開けてみないと本当のところは分からないのだが、分からないままその責任を背負いこんでいて、こうした人間の味わいはいいと思う。