千年女優

ボーンズ アンド オールの千年女優のレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
4.0
抑えられぬ「人食い」の習性を持つ少女で、それが露になる度に各地を転々とするも耐えかねた父親に捨てられたマレン。父の残した出生証明書を頼りに母の出生地ミネソタへ向かう彼女が、道すがらで中年男のサリーから同族の存在を知らされて、程なくして出会った若く美しい同族の少年リーと旅を道連れにする様を描いた恋愛ホラーです。

旅行文学を得意とするカミーユ・デアンジェリスのアレックス賞受賞作を、様々な形で「欲望と自我の目覚め」を描くイタリア人監督のルカ・グァダニーノが映画化した作品で、過去作『君の名前で僕を呼んで』でも協働したティモシー・シャラメと『WAVES』でブレイクしたテイラー・ラッセルとの若手スター候補の共演が話題になりました。

ヤングアダルト定番のパラノーマルものとあって題材のお話への落とし込みは直接的ですが、グァダニーノが流石の手腕を発揮して自らのテーマに手繰り寄せています。ブレーキかけぬ人食描写とニューシネマ風のロードムービー演出、それらがグルーブを形成して生まれた切なくも美しくエモーションがロマンチックを助長している一作です。
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