ソウキチ

ボーンズ アンド オールのソウキチのレビュー・感想・評価

ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)
5.0
「生まれたままの自分が、社会から許されざる存在だったら、その中で自らの人生をどう得るのか」カニバリズムという扇情的なテーマを扱いながら、それはあくまで映画的な暗喩で、言うまでもなくセクシャルマイノリティを指している。

「たとえ社会から許されなくても、不本意に他人を(殺すほどに)傷つけたとしても自分たちだけの愛に生きろ」という、偽善と殺伐に満ちた現代に生きるマイノリティ達への強烈なメッセージを感じた。

R-18指定作品というだけあってたしかにグロ描写はあるが、ルカ・グァダニーノ得意の瑞々しいタッチで青春ドラマのような美しさがあって、食人映画を見に来たはずなのに妙に胸のすくような爽やかな鑑賞後感。リーが自らのトラウマを打ち明けるシーンでは落涙してしまった。

それにしても血まみれのティモシー・シャラメよ。ルッキズムが問題視される潮流のなかで、「映画は美しくなければならない」というタブーをひとり体現する最後の映画スター。ともすれば時代錯誤な圧倒的な華で画面を支配し、映画を牽引する無双ぶり。かっこよすぎんだわ。
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