チッコーネ

霧笛が俺を呼んでいるのチッコーネのレビュー・感想・評価

霧笛が俺を呼んでいる(1960年製作の映画)
3.5
横浜のハイカラで開放的な雰囲気が横溢。
動き回るより、ロングショットでロケーションごと見せる場面が印象的で、編集もスピーディだ。

赤木圭一郎主演だが、彼は物語の主軸となる犯罪の当事者ではなく、狂言回し。
このため本作では、一部の観衆を魅入る「あどけなさと諦念が同居した陰鬱な色気」をそれほど発散しておらず、時折笑顔さえ見せていた。
その分助演役者の印象が強い作品で、特に西村晃の見せ場となるモノクロ場面には、ドキュメントタッチの迫力あり。
黒澤の『天国と地獄』でも描かれていた、横浜の黒歴史がうっすら香る。