クリーム

イギリスから来た男のクリームのレビュー・感想・評価

イギリスから来た男(1999年製作の映画)
3.8
先日「テオレマ」で若くて妖艶なテレンスを観たので、ポヤ毛が可愛いおじさんテレンスも観賞。やっぱりこっちのイメージが強い。本作の役は可愛くはありません。独特の雰囲気で淡々と疑わしい男に迫って行く姿は、無表情で冷酷に見える。テレンスの顔と演技力、存在感だから面白い作品。内容も観賞後にじわります。

イギリスで強盗常習犯で服役していたウィルソンは、9年の服役中に事故で亡くなった娘の真相を知る為、アメリカにやって来た。娘の知り合いを訪ね、音楽プロデューサー·テリーと恋人関係だったと知り、テリーに迫るのでした。



ネタバレ↓



テリーにたどり着くまでの工程が何を考えているのか解らず、面白いです。
テリーを追い詰めたウィルソンがジェニーの真相に迫ります。
彼はジェニーを愛していた事。 そして、自分が薬物取引に関わっている事を知ったジェニーが、テリーを止めようと「やめないと警察に電話をする」と脅して来た事を聞いた。 既に取引は済んでおり、後には引けない状態だった為、2人は揉み合いになり、ジェニーは頭を打って亡くなった。死因を隠蔽する為、事故に見せかけたのだった。
作中、ウィルソンの回想シーンで、彼が服役する前に幼いジェニーが父が犯罪を犯すのを察知し、それを止め様と受話器を握り「悪い事をするなら警察に言いつけるよ」 と言うシーンがありました。
娘が殺されたと確信していたウィルソンは、当時付き合っていた男が犯人だと確信し、復讐を誓いますが、ジェニーが命を落とすきっかけを作ったのは、自分だったと知り凍り付きます。
自分があんな生き方をしなければ、娘はきっとテリーに対してそんな態度で臨まなかった。
テリーを殺さなかったウィルソン。 テリーを許したのではなく、ジェニーの死に対する自分の罪を知り、絶望したのだろう。イギリスへと帰っていくウィルソンの遠い目で、話は終わる。

彼はこれからどうやって生きて行くんだろう?と思わせるラスト。余韻のある結末がテレンスの表情にピッタリでした。殺す気満々で、やって来たのに要因は自分だったと悟ったウィルソン。切なく救いのない話に思えました。面白い展開の映画だった。好きです。

※blackkazoomaさん、面白く好みの作品でしたありがとうございました♪
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